好きなことでメシを食う、そんな生き方があってもいいじゃない!
読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

旧ブログ「オガのスキメシ日記」

ゴーストライターのオガワが好きなことでメシを食うための方法を徹底解説

【第五話】心臓がリンボーダンス踊ってやがる(小川少年の就活事件簿)

▼過去記事一覧

【第一話】 ヒッチハイクで東京へ!A社の人事、むっちゃ可愛いらしいで。

http://ogawa-aikido.hatenadiary.jp/entry/2016/05/10/172405


【第二話】閉所恐怖症のトラウマを越えて。

http://ogawa-aikido.hatenadiary.jp/entry/2016/07/11/174715


【第三話】これは恋!?(小川少年の就活事件簿)

http://ogawa-aikido.hatenadiary.jp/entry/2016/07/15/170713


【第四話】波乱の二次選考(小川少年の就活事件簿)

http://ogawa-aikido.hatenadiary.jp/entry/2016/07/23/091011


==============


チッチッチッチッ…

 

残り時間、


1時間とわずか。

 

午後1時になると、二次選考
最初のミッションの終わりが告げられる。


それまでに、次の選考に進む24人を
選べなければ全員の落選が決まる。


まだ話もまとまっていない。


制限時間にジリジリと迫り、
必然的に焦りの気持ちが出てくる。


はっきり言ってヤバい状況だ。


打開策が何も出てきていない。


各々が自分にとって
都合の良い提案をしていると、
このまま時間切れになりかねない。


しかし、ここで予想外のアイディアを出す人が現れた。


「ここまで来て、誰かを落とすなんて出来ない。

皆それぞれ熱意もやる気も持っているし、
全員で次に進みたい。

だから社員の人に45人全員で
進ませてもらえるように提案しよう。

もしそれでダメで、
全員が落ちても私は納得が出来る」

 


なにーーー!!


まさに予想外の提案だ。


『全員で選考通過』


実現できればベストだが、
これは無謀だろう。


一応、人事担当の方に確認を取った。


「こういうことを提案してもいいですか?」


人事責任者の方は、

「全員が本当に納得してたら別にいいよ」

と返答した。

 

私は全然納得していない。


当時の私の考えを言うと、
自分がA社の人事担当なら、
間違いなくこの提案は受け入れない。


新人採用を何のために行っているのかを
考えたら、自ずと答えは出る。


企業側もお金を掛けて新卒を募集している。


そのため学生をふるいにかけて、
優秀な人材を採用したいと考えているはずだ。


だったら選考のたびに、優秀だと思う学生を
絞っていく必要がある。


それなのに、45名を全員通過させるなんて
二度手間になることをやりたがるとは思えない。


今、やろうとしている提案は、
A社側に全くメリットがないのである。


その提案が通るのは無理な話だろう、
そう考えていた。

 

万が一心意気を組んでくれて
チャンスをもらえるかもしれない。


しかし、めちゃくちゃハイリスクである。


そんな危ない橋は渡れない。
無謀とチャレンジは違うのだから。


こちらも札幌から出てきて、
99人分のエールを背負って選考を受けているのだ。


突き返される確率が高い今回の提案を
納得できるわけがない。

 

そして、人事担当者が話を続けた。


「今この選考でやっているのは、
野球のルールで例えると、
試合に出られる9人のメンバーを
選ぼうとしているわけだよね。


でも、今みんなが言っていることは、
9人しか出られないルールなのに、
10人とか11人出たいって言ってるのと同じだよね。


それをするためには、
一からルールを変えなければいけない。


実際にそんなことが出来るのか?という話だよね。


現実問題として、ほぼ無理な話だよね」

 

おぉぅ…


遠回しに「お前らの提案はのめない」と言っている。
ますますこのままの流れで話を進めるわけにはいかない。


しかし、そんな状況で
的確な発言をする学生が現れた。



「みんな、本当に今の提案でいいの?

勢いで話が盛り上がっちゃってるけど、
全員落ちるかもしれないんだよ。

そりゃ、誰もが落ちたくないし、
全員が受かればいいけど、

これで落ちたら後悔する人もいるんじゃない?」

 

その通り!私もそう思う。

(この発言をした学生の名前はT君と言います)

 

さらにT君は話を進める。


「時間的に、個人で何かをして
24名を決めるのはほぼ無理だよね。


グループで競い合うとしても、何をやるのか決めたり、
そこから取り掛かっていたら相当厳しい。


できる可能性はあるかもしれないけど、
すごく危ない選択だと思う。


だったら、今あるグループの中で話し合って、
グループの中で進む人を決めた方がいいと思う。


この短い時間だったけど、
皆がどれだけ思いがあるか伝わってきたし、
99人のエールを集めてきた
行動力のある人達がここに来ている。


いい加減な気持ちでここにいる人はいないと思う。


そんな人達が集まっているグループが考えた方法で
選ばれた人なら、俺は納得できる」

 

なるほど。


グループの中で話し合って、一つのグループから
次に進めるメンバーを選出するということか。


グループがA~Gの7つある。


6人グループが4つ。
7人グループが3つ。


それぞれのグループから
3~4人のメンバーを選出する。


6人グループから3人選出。
7人グループから4人選出。


そうすれば24名を選ぶことができる。


T君、凄いな。


頭が良いし、発言が的確である。


こういう発言をできることが凄いし、
皆を説得させられる話の組み立てが
出来ているのも凄いことだ。


しかも、皆が焦ってバタバタしている場面で、
冷静に意見をまとめているのである。


こういう意見を聞いていると、
この選考のレベルは非常に高いと感じる。


皆アクティブで、きちんと現状分析をして、
現状打破に貢献するための意見を言うことができている。


んー、すごいな。


自分はできる人間だと根拠のない自信を持っていたが、
井の中の蛙』感が半端ない。


しかし、この案には2つの問題が残る。


1つ目は、6人グループと7人グループの
合格者の割合が違うこと。


6人グループは3人の合格者なので50%。
7人グループは4人の合格者なので57%。


7人グループの方が有利な計算になる。


2つ目は、本当に全員が納得しているのか?
ということである。


しかし、これらの問題はすぐに解消された。


「どのグループも次に進めない人は
同じ3人になる訳だから、いいのではないかな?

俺はそれで納得できる」


学生の一人が発言をした。


ん~、そういう見方もあるか。


時間も迫っているので
暗黙の了解的な雰囲気で全員が納得した。

 

そして、人事担当の方が最後の確認を行った。


「全員が納得できているかどうか確認します。
皆さん、目を閉じて伏せてください」


もし誰か一人でも納得していない人がいたら、
話は振り出しに戻ってしまう。


そうなったら、いよいよヤバいことになる。


「この方法で納得した人は手を上げてください」


沢山の人の手が上がる気配がした。


「それでは、この方法でもし自分が
次の選考に進めなかったとしても、
絶対に文句は言わないと誓える人は
手を下してください」

 

手を下す気配がしない。

 

どうなった?
どうなったんだ?

 

「まだ手を上げている人がいますね」

 

マジかよ…


これでまた話し合いをするとなると、
制限時間を考えると絶望的だ。

 

「納得したら手を下すんですよ」

 

「あっ、すみません!勘違いしてました!」

 

勘違いかよ!マジでびっくりしたわ!

 

「全員が納得してるのでオッケーです」

 

人事担当者の確認が取れた。

 

よし!これで話を前に進めることができる!


しかし、時計を見ると12時を回っている。


時間が無い。


すぐにグループごとで、
次の選考に進むメンバーを選ぶことになった。


ここでようやく私にも
思っていることを伝える場面がやってきた。

 

「この状況って、もう論理的に人を選べる状況じゃない。


せっかくここまで来ているんだから、
皆2分ずつ、今の想いとか目標とか、
何でこの会社に入りたいのかをプレゼンしよう。


それで、こいつなら自分が落ちても
応援したいと思える人に投票する方法が良いと思う。


それなら、みんな自分の想いを
伝えて終わることができるし、
スッキリして終われると思う。


一人3票持ってて、自分以外の人3人に投票して、
票が多い上位4人が次に進めるというのはどうだろう?」

 

この案にみんなが納得してくれて、
3分間、話すことをまとめる時間が取られた。


「プレゼンで何話そう」


自分で提案しておきながら、
話すことが全然思いつかない。


そして、各自2分ずつのプレゼンが行われた。


みんな夢や熱意を持ってプレゼンしている。
聴いている自分にも気持ちが伝わってくる。


す、すごい。


急に不安になった。
大丈夫か、おれ!?


そして、いよいよ自分の番が回ってきた。


プレゼンの時はいつもそうなのだが、
何を話したのかあまり覚えていない。


「アツくなりたい!」

「沢山の人を明るくできるコンサルタントになりたい!」


ということを話した気がする。


頭が真っ白になったこともあり、
本当に思い出せない。


そして全員の発表が終わり、
投票の時間になった。


誰に投票するか、なかなか決められない。


みんな本当にアツい想いを持っていて、
誰が通過しても全然おかしくない。


正直、大ピンチである。


自信を持っていたが、
みんなのプレゼンを聴いていると
落ちる確率も十分にあると思った。


グループのヨネという人が票を集計して、
結果発表が行われた。


いよいよである。

 

「まず1人目・・・


こうちゃん!

 

パチパチパチッ!!

 

2人目・・・


こず!

 

パチパチパチッ!!

 

3人目・・・


俺(ヨネ)

 

パチパチパチッ!!」

 


ここまで「小川」の名前は呼ばれていない。

 


ドクンッドクンッドクンッドクンッ

 


マジかよ、心臓がリンボーダンス踊ってやがる。

 


あと一人…

 

名前が呼ばれなければ、
このまま札幌に帰ることになる。

 

そうなったら、
エールをくれた人達に申し訳が立たない。

 

頼む!通っててくれ!!

 

 

そして…

 

 

「4人目・・・

 

 


・・・

 

・・・

 

 

つづく

 

 

ogawa-aikido.hatenadiary.jp